「最終戦で勝てば…」。オーストラリアに見え隠れした油断
先月31日、日豪戦の大一番でなす術なく敗れた時点で、豪州のW杯出場決定は彼ら自身の手を離れた。最終戦に勝っても、出場権獲得は他の試合の結果によるという、いわゆる「他力本願」の状況に追い込まれた。
日豪戦の蹉跌から間を置かずに開催されるホームでのタイ戦(5日)に勝つのが絶対条件。そうして、時差の関係で同日の未明に行われる日本対サウジアラビアでの日本の勝利を待つ。そのタイ戦では、最終節終了時にサウジアラビアと勝ち点で並ぶ可能性が高いだけに、1点でも多くゴールを奪っておきたいという状況で試合に臨んだ。
元々、豪州サイドには日豪戦の前から「最終戦がホームでタイ戦」という日程がゆえに、「仮に日本に負けても後がある」という意識が見え隠れしていた。どこかで「最下位のタイには勝てる。だから日本戦に勝つか引き分ければ、ぐっとW杯は近づく」という考えがあり、さらには「仮に日本に負けたとしても、タイ戦に勝てば何とか滑り込める」という希望的観測があったことは否めない。日本戦での完敗後には、そこにさらに「日本は次のサウジアラビア戦にも気を抜かず勝ってくれるに違いない」という根拠なき希望が加わったのだから、今思えば、少々虫が良すぎた。
いずれにしても、ホームのメルボルンで行われた負けられないタイ戦に集まった観衆は、2万6393人。球技専用スタジアムだけにとても良い雰囲気ではあったが、3万人収容のスタジアムは9割の入りで満員札止めとならなかったのは、今の代表人気をはっきりと示すようで、一抹の寂しさを感じた。