ルクセンブルク戦ドローを良い教訓にできるか
同じことはポグバにも言える、オランダ戦でも、ファーポスト付近にコマンがフリーで構えていたのに自分でGKの真正面に打ち込んだ場面があったが、ルクセンブルク戦でも安易なミドルを連発するなど、最後のアクションを見極める判断力がもうひとつ欲しいところ。
ポグバは超人的な活躍をする時と、2016年のEUROでもそうだったように、妙にバランスの悪いプレーをする時との差が大きい。
『中盤はカンテとボグバ』、という構想は、デシャン監督の中ではおそらくかなり堅まっている。グリーズマン同様、ポグバももはや彼自身の出来がレ・ブルーの出来を大きく左右する存在だが、彼はどうもクラブの方がパフォーマンスが良い気がする。案外「背負うと萎縮する」タイプかもしれない。
また、デシャン監督は「決定力に乏しかった理由などわからない」と言ったが、ルクセンブルク戦では、ゴール前でのアクションが連動していないシーンも多々あったから、相手の熱のこもったディフェンスを賞賛する以外にも、自分たちで見直す点はある。
そもそも本戦でも、フランスは、グループリーグではこのルクセンブルク戦のような展開を想定しなければならないのだ。過去の大会でもそうだったように。
グループ内の強豪からは何がなんでもドロー狙いで勝ち点1を獲る、という姿勢で挑んでくるチームとフランスは相見えることになる。強豪同士のオープンゲームの方がよほど実力を出しやすいだろうが、こういった試合でいかにゴールをこじ開けるかはフランスにとって大きな課題だ。今回のルクセンブルク戦が良いレッスンになれば勝ち点2を失った甲斐はある。
残る10月の2戦は、敵陣にて、ホームで無敗のブルガリア戦、そしてラストは、スタッド・ド・フランスでのベラルーシ戦だ。ベラルーシは今予選初戦でも0-0で引き分けているから、仮にブルガリア戦で勝ち星をとれず、背水の陣でこの最終戦に挑むことになると、フランスはちょっと危うい状況に追い込まれそうだ。
(文:小川由紀子)
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