2試合とも際立ったパフォーマンスを見せたモナコの新鋭
今回の2戦から読み取れたフランス代表の現状は、レ・ブルーはまだ発展途上にある、ということだ。
2016年のEUROは、フレッシュな若手として2014年のW杯ブラジル大会を経験したポグバやグリーズマンが中心選手となり、あと一歩のところで優勝は逃したが、この延長上に18年のロシア大会での栄光がある、とさらなる成長を感じさせるものだった。
しかし今回選ばれたメンバーは、半数が2016年のEURO未経験組。フランス代表は2016年組の熟成形ではなく、新たなメンバーを加えた発展形へと進んでいる。
その核となるであろう選手がオランダ、ルクセンブルク両戦で光っていたトマ・ルマールだ。
この夏、アーセナルのベンゲル監督が何が何でも欲しがっていた中盤のユーティリティ・プレーヤーは、現リーグアン王者のモナコがムバッペ以上に手放したくなかった選手(結局今季はモナコに残留)。昨季もムバッペが大々的にクローズアップされていたが、チャンスメークに長けたルマールの貢献は計り知れない。
今回の予選も2試合ともに先発フル出場。中盤を広く動き、味方が「ここでいったん預けたいな」という場面で絶妙なタイミングとポジショニングで受けてくれる重要なパスの中継ポイントであるだけでなく、攻撃チャンスへの効果的な絡み、ゴールに直結するラストパス、さらには自らシュートも決められる(オランダ戦では2得点)。
またその快足で相手のカウンターをブロックするなど守備面での貢献度も高い。彼はいまのデシャン陣営にとって、カンテと並んで「替わりの効かない選手」だ。
今回の2戦を試合ごとに見てみると、オランダ戦は4-0とスコアだけ見ると景気が良いが、そこまで良い出来だったか? というと個人的にはそうは感じなかった。
この試合でのオランダはことに突破力に乏しかったし、フランスは14分にグリーズマンが先制点を奪い、その後も右サイドのコマンが積極的にディフェンスの裏を狙うなどスピーディな攻撃アクションで押し込んではいたが、62分にMFストロートマンが退場になって相手が一人少なくなってからも、数的優位はなかなか追加点に結びつかなかった。その中で、中距離から絶品の左足シュートでゴールをこじ開けたのがルマールだった。