7年前の中村俊輔に重なる本田の姿。かつての姿を取り戻せるか
かつて本田にエースの座を追われる格好となった中村俊輔(磐田)も2010年南アフリカW杯直前のスイス・サースフェーでの高地合宿で身体的数値が上がらず、ベンチを温めることになった。今の本田はそんな先輩の姿と重なる。
俊輔の場合、調子を落としたのがW杯直前だったから岡田武史監督(FC今治代表)が彼をメンバーから外すことはなかったが、本田の場合は最大の目標までまだ1年近くある。その間に復調を期待するのか、本田に見切りをつけて若手中心で割り切ってチーム作りを進めていくのかは、ハリルホジッチ監督に求められる決断のひとつだ。
ロシアW杯を代表キャリアの集大成と位置づけている本田の思いを理解しているだけに、最悪のシナリオは考えたくもないが、この先、背番号4が招集されなくなる可能性もある。それほどサウジアラビア戦の前半45分間は本田自身にとっても、日本代表にとっても大きなものだった。
「何よりもW杯に出るということが結果として残せた時点で1回、振り出しに戻して、(自分自身を含めた)日本代表がどういった形でロシアに向かうべきなのか。それを考えないといけないと思います。自分はまず(クラブで)試合に出続けることで全てをまた取り戻していけると。さらにパワーアップを目指していけると思ってるんで、まず帰ってコンスタントに試合に出ること。まずはそこからだと思います」
本人が語気を強めた通り、メキシコで圧倒的な活躍を見せ、ボスニア人指揮官にその存在感と必要性を再認識させること。そうすることでしか本田がロシアへ行く道は開けてこない。過去にないほど険しい道のりになるが、キャリアの全てを賭けて力を尽くすしかない。
(取材・文:元川悦子)
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