「まあ全然ダメですね。何を言っても言い訳になる」
その焦燥感がサウジアラビア戦のミス連発を招いた可能性は否定できない。ハリルホジッチ監督は「本田がトップコンディションでないことは分かっていた。(クラブでの)出場時間も短く、試合勘が欠けているのは分かっていたので45分限定で使った」と説明したが、時間限定起用だったからこそ、ゴールにつながるインパクトを残して世代交代の流れを引き戻したい思いは強かったはずだ。
けれども、結果は冒頭のシーンに象徴される通り、本田は沈黙した。
「まあ全然ダメですね。何を言っても言い訳になるんで。もうダメやったという結果しか残らないんで。いろんなものを代表で取り戻していけないかなと思います」と本人も素直に出来の悪さを認めるしかなかった。
この日に限って言えば、後半からピッチに立った浅野、終盤トップ下で出場した久保もそこまで輝きを放ったわけではなかったが、本田よりは躍動感があり、動きにキレもあった。ハリルホジッチ監督が理想とするスタイルを体現しようと思うなら、2試合続けて献身的なアップダウンを繰り返し、抜群の運動量を示した井手口のようなフィジカル能力が求められる。
本田のコンディションがあと9ヶ月でそのレベルまで上がる保証はない。彼自身はトップ下など中央でのプレーを求めているが、ハリルジャパンの中盤はこれまで以上に守から攻への切り替えの鋭さで勝負するようになっている。このやり方に彼がフィットするかも分からない。前途は多難だ。