本田が抱いた危機感。しかしパフォーマンスは…
迎えた6月のイラク戦(テヘラン)は、シーズン終了直後の欧州組合宿の成果もあって調子が上向いた。香川真司(ドルトムント)の左肩負傷も重なり、原口元気(ヘルタ)がトップ下へ移動。久保も左FWへ移り、本田に右FWの位置が用意される格好となった。
この好機を彼は確実に生かし、右CKから大迫勇也(ケルン)の先制弾をアシスト。酒井宏樹(マルセイユ)との縦関係から再三再四チャンスを作った。「チームで一番効いていたのは圭佑くんだったと思う」と山口蛍(C大阪)にも言わしめる出来で、復活の兆しをつかんだがに思われた。その後、7月中旬にはパチューカ移籍も決まり、最終予選終盤2連戦には十分間に合うはずだった。
誤算だったのは、長友が指摘した「ケガ」。右ふくらはぎの違和感で新天地デビューが8月22日までずれ込み、新シーズンに入って一度も90分間プレーしないままに代表のために帰国した。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はオーストラリア戦で本田を起用せず、若い浅野拓磨(シュトゥットガルト)や井手口陽介(G大阪)に6大会連続となる世界への切符獲得をかけた大一番を委ねた。
後輩たちの活躍をベンチで見届けることになるなど、4年前の同じオーストラリア戦でPKを蹴り込み、日本をブラジルへと導いた男には考えもしなかったはずだ。
「もしかしたら『サッカー辞めようかな』とか考えるかもしれないですけど、結局は本戦が目標。ベンチに座ってる悔しさがなくなったら努力ができない。そういう意味でも拓磨や陽介ら若手が活躍したことが嬉しい」とロシア行き決定翌日の1日、本田はいつも通りの強気の発言をしてみせたが、相当な危機感を抱いていただろう。
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