若きDFたちは奮起を。サウジ戦は大きな経験に
槙野はシンガポール戦や2次予選の重要な節目だった2015年10月のシリア戦(マスカット)で吉田とコンビを組み、指揮官の高い評価を得ていたが、徐々に森重の序列が上がっていった。そして2016年10月のオーストラリア戦(メルボルン)で左サイドバックに抜擢されたのを機に、最近は長友佑都(インテル)のバックアップという位置づけが中心になっている。丸山は同じオーストラリア戦で終盤出場しただけで、今季に入ってからは招集を見送られていて、代表復帰への道は険しそうだ。
今は昌子が吉田に続く2番手になっているが、後を追う植田と三浦が代表歴なしの状況ではこの先が思いやられる。10月以降のテストマッチで2人、あるいは予備登録に入っている鈴木大輔(ヒムナスティック・タラゴナ)、岩波拓也(神戸)らが試されるかもしれない。ただ、彼らも世代別代表での国際大会は経験してきたものの、A代表出場歴は前者が2試合、後者はゼロと実績の乏しい状態に変わりない。今回、植田や三浦が貴重な真剣勝負の場でプレーし、経験値を高めていくことは、今後を考えても大きなプラスとなるはずだ。
「代表にもだいぶ慣れてきましたし、出たらやってやろうという気持ちは常に持っている。この前のW杯出場を味わって、本番に出場したいという思いは強くなりました。対人面やフィードだったりは自分の武器だと思っているんで、それを代表でも出していけたらいい」と21歳の三浦は力強くコメントしていたが、2011年アジアカップ(カタール)でデビューした吉田が当時22歳だったことを考えると、決して若すぎるわけではない。
吉田が出場することになったとしても、パートナー候補筆頭の昌子は先輩に依存してばかりではいけない。自分から守備陣を統率する姿勢をこれまで以上に強く押し出していくべきだ。吉田頼みのディフェンスラインから抜け出すこと。その大きな命題を克服すべく、改めて若いDF陣に奮起を促したい。
(取材・文:元川悦子)
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