長谷部が語るチーム前進の原動力。「期待感」と「危機感」
その結果として弾き出されたのが「4‐1‐4‐1」であり、運動量とボール奪取力に長けた山口蛍(セレッソ大阪)、井手口陽介(ガンバ大阪)をインサイドハーフとして長谷部の前に並べる陣容だった。
そして2列目の「4」の左にドリブラーの乾貴士(エイバル)、右に韋駄天の浅野拓磨(シュツットガルト)を配置。アジリティーに難があると分析した、長身そろいのオーストラリアの最終ラインを徹底して地上戦で揺さぶった。
「戦術的な部分でもとにかく相手の弱点を突くというか、徹底的にスカウティングをしてやるという部分ではできたところはあると思います。このワールドカップの切符をつかんだという結果だけを見れば、本当にいい戦いだったというか、サッカーは結果が正しいというところもあるというか」
システムにはこだわらない。いかにして相手のストロングポイントを封じ込めるか。相手の特徴によって戦術の起用する選手を、それこそカメレオンのように変える。
アルジェリア代表を同国初にベスト16に進出させた、ワールドカップ・南アフリカ大会でも見せたリアリティーに徹した戦い方は、長谷部にとっても斬新に映った。
多彩な戦い方を求めるから、選手選考の幅も広がる。22歳の浅野、21歳で国際Aマッチ出場が3試合目となる井手口をためらうことなく起用した。だからこそ、来年の本大会の組み合わせ抽選の結果次第で、メンバーがどんどん変わってくる可能性もある。
いわば格上が相手になるほどに緻密な分析のもとに戦い、強さを発揮するハリルホジッチ監督のサッカーは、これからが本番となる。いい意味での期待感と危機感が、チームを力強く前進させる原動力になると長谷部は言う。
「アルジェリア代表時代を見てもグループリーグの3試合、そして決勝トーナメントでかなり違うメンバーを使っていた。その意味でもメンバーの固定というのはこれからもないと思うし、いい意味で誰にでもチャンスがあると思っています」