2点目を決めた井手口陽介【写真:Getty Images】
日本代表は31日、ロシアW杯アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦して2-0で勝利。来年のW杯出場権を獲得した。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は思い切った決断を下した。これまで長く日本代表の中心として君臨してきた本田圭佑と香川真司をスタメンから外し、大一番に浅野拓磨や井手口陽介、乾貴士といった現代表での経験が浅い選手たちを起用した。
すると序盤から日本はオーストラリア相手に主導権を握る。前線から高強度のプレッシャーをかけてボールを奪い、カウンターでゴールを狙う形を徹底していく。守備陣のスピードと技術に不安を残すオーストラリアの持ち味であるパスサッカーを封じた。
そして42分、日本に先制点が生まれる。長友佑都が左サイドから上げたクロスに浅野拓磨が合わせてW杯出場を手繰り寄せる重要な1点を奪った。この場面、オーストラリアのDFたちはオフサイドを狙ってラインを上げたが、浅野が絶妙なタイミングで飛び出したのを捉えきれなかった。
後半に入っても日本が主導権を握る展開は変わらない。終盤、W杯出場権獲得を決めるゴールは唐突に生まれた。82分、左サイドでボールを持った井手口陽介が対面のジャクソン・アーバインを抑えながら中へドリブルで運び、右足一閃。強烈なミドルシュートがGKマシュー・ライアンの手をかすめてゴールネットに突き刺さった。
乾の活躍も見逃せない。攻撃で自慢のドリブルを披露するだけでなく、守備でもスペインで培った戦術スキルの高さを見せつけた。プレッシングにいくか・いかないかの判断が素晴らしく、無理のないコース取り、守備時のポジショニングも的確だった。もちろん攻撃でもがむしゃらに仕掛けるだけでなく、味方のために走る献身性が光っていた。
この試合、日本のボール支配率は33.5%だった。数年前であれば考えられない数字だっただろう。ハリルホジッチ監督はボールポゼッションを捨て、現実的に勝つための戦術を選択し、そのための選手選考をし、そして最高の結果をもたらした。
シュート数は日本が17本、オーストラリアは5本とチャンスの数でも宿敵オーストラリアを上回り、スピードと技術を生かしたプレッシングからのカウンターが有効であることを示して見せた。W杯出場を決めただけでなく、今日のオーストラリア戦はハリルホジッチ監督の思考と選手のプレーがシンクロし、采配的中と言える試合となった。
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