まさかのヨルダン戦黒星。浮き彫りになる課題
翌月の欧州遠征ではブラジルに粉砕されたものの、フランスに1-0で金星を挙げ、チーム全体が収穫と課題を得た状態で2012年11月のオマーン戦(マスカット)に赴くことができた。
現地時間15時半キックオフ、40度近い酷暑の中のゲームということで、すでに真冬並みの寒さになっている欧州組にとっては適応どころではなかったが、それでもアジア王者としての意地とプライドで足を止めずに走り続け、清武の先制点と岡崎の終了間際の決勝弾で2-1と勝利。残り3戦を残した段階でブラジル行きに王手をかけた。
2012年の5戦を無敗で乗り切り、本田や岡崎といった大黒柱が目に見える結果を残すなど、ザックジャパンは確かに順調だった。が、2013年に入ると壁にぶつかる。その最たるものが3月のヨルダン戦(アンマン)だった。
勝てば5大会連続切符獲得という大一番に本田がケガで不在。長友も離脱を強いられた。本田のところには香川をトップ下に回し、左に清武を起用。左サイドバックにシュツットガルトで結果を出し始めていた酒井高徳(HSV)が入った。清武と酒井高徳は2012年ロンドン五輪コンビ。連係面も問題ないはずだった。
ところが、日本は前半から攻めあぐね、ハーフタイム突入直前に左CKから失点してしまう。岡崎のマークより頭1つ高いヘッドを放ったバニアテヤのゴールだった。
「決めるところできっちり決めろ」とザック監督から檄が飛んだ後半、日本はまたも決定機を外し続ける。そして酒井高徳のミスから奪われ、彼の背後から持ち込まれたところに対応した吉田があっさりとかわされ、アーメド・ハイルに致命的な2点目を決められてしまったのだ。
高徳のキープ、今野のカバーリングポジション、吉田麻也の1対1とミスが3度続いたら得点に直結するのがサッカーだ。日本は崖っぷちに追い込まれた。ザックは長身の切り札、ハーフナー・マイク(神戸)を投入。
岡崎と清武の左右のサイドを入れ替えて揺さぶりをかけたことで、香川が一矢報いることになったが、反撃もここまで。今まで敗れたことのない相手に最終予選初黒星を喫し、切符獲得が持ち越しとなった。