ミスマッチはやむなし。いかに集中して連携を図るか
その中で後半42分のFKはゴール前にボールが入ってくる前の混戦で長谷部誠が転倒し、彼のマーク担当だったマシュー・スピラノビッチにフリーで危ないシュートを打たれたシーンはあった。しかし、全体的には粘り強く対応し、身長差も致命傷にはならなかった。その試合でのマッチアップは下記の通りだ。
【キッカー】
アーロン・ムーイ
【ターゲットvsマーク】
ライアン・マクゴーワン(185cm) vs 槙野智章(182cm)
トレント・セインズバリー(183cm) vs 本田圭佑(182cm)
トミ・ユーリッチ(189cm) vs 森重真人(183cm)
マイル・ジェディナク(188cm) vs 吉田麻也(189cm)
アポストロス・ヤヌ(185cm) vs 酒井高徳(176cm)
マシュー・スピラノビッチ(188cm) vs 長谷部誠(180cm)
【ミドルレンジ】
トム・ロギッチ(188cm)vs 山口蛍(173cm)
【ストーンorフリーマン】(特定のマークにつかずボールを跳ね返す役割)
小林悠(177cm)
原口元気(177cm)
【壁】
香川真司(175cm)
【GK】
西川周作(183cm)
ご覧の通り、ターゲットとマーカーの関係で辛うじて身長が上回っていたのはジェディナクと吉田のところだけで、スピラノビッチと長谷部は8cm、ヤヌと酒井高徳も9cmの差があった。また見た目でわかる通り、体格的にもオーストラリアの方が上回る。それでも日本の選手たちは粘り強く体を寄せてムーイが右足で蹴ってくるボールに合わさせず、ニアサイドやポール際は小林と原口が柔軟に対応。背後のスペースはGKの西川がカバーしていた。
さらに危険だったのが、オーストラリアがティム・ケーヒル(180cm)、マシュー・レッキー(181cm)、ロビー・クルーズ(179cm)と攻撃的な選手を投入してから。一方の日本は小林に代えて清武弘嗣(172cm)、本田に代えて浅野拓磨(173cm)が入り、特に清武が9cmも高いレッキーのマークにつかなければいけない場面が生じた。
そこでハリルホジッチ監督は後半アディショナルタイムに183cmのDF丸山祐市を原口に代えてサイドハーフに投入する“奇策”でラスト数分を1-1の同点のまま耐え抜いた。