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日本代表 7年前

長友佑都、決戦直前も周囲に与える余裕。オーストラリア撃破へ、修羅場くくったベテランの経験

text by 藤江直人 photo by Getty Images

左SBのファーストチョイスは確実視。機は熟した

 冒頭で「達観」や「余裕」と記したのは、何も気持ちが冷めているからでも、ましてや上から目線で見ているわけでもない。心の奥底には愛してやまない日本代表の現在と未来とに寄せる、マグマのような熱き思いが脈打っている。

 今回の招集メンバーを見わたしても、左サイドバックを争うのは30歳の槙野智章(浦和レッズ)と、右でもプレーできる26歳の酒井高徳(ハンブルガーSV)。ハリルジャパンにおける図式は、長く変わらない。

 もっと、もっと多くの選手たちに挑んできてほしい。日本サッカー界全体のモチベーションを高めるためにも、来年のロシア大会の舞台に立つことは欠かせない。だからこそ、いま現在を全力で引っ張る。

 左サイドバックのファーストチョイスになることが確実視される、オーストラリアとの大一番へ。大胆かつ細心に。原点を大事にしながら、これまで何度も痛い目に遭わされてきた教訓も後輩たちへ伝えていく。

「前からアグレッシブにいく気持ちは常にもっている。ただ、気持ちが先行して前の選手と後ろの選手との間にギャップができてしまえば、試合を最も難しくするし、チームを混乱させる。バタバタする時間もあると思うけど、経験のある選手たちが声を出して、しっかりまとめていかないといけない」

 いざ、機は熟した。ワールドカップ予選で初めて難敵オーストラリアから勝利をもぎ取り、歴史を変えたうえでロシア行きの切符を手にして、ファンやサポーターと喜びを分かち合うために。

 未明の一戦でサウジアラビアがUAEに逆転負けしたため、たとえオーストラリアに負けても、敵地ジッダで9月5日に行われる最終戦で引き分け以上ならば、グループBの2位以内が確定する。

 それでも超満員必至の埼玉スタジアムで、勝って大団円を迎えたい。自らに課される役割をいま一度かみしめながら、長友は静かに大一番のキックオフを告げるホイッスルを待つ。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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