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日本代表 7年前

岡田監督解任論が消えなかった南アW杯予選。2試合残し突破もオーストラリアには勝てず【アジア予選激闘史】

シリーズ:ワールドカップ・アジア予選激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

荒れたウズベク戦に辛勝しW杯決定。しかしその後の豪州戦は敗北

南アフリカW杯出場を決めた後のオーストラリア戦では“天敵”ケーヒルに2ゴールを奪われ日本は1-2で敗れた
南アフリカW杯出場を決めた後のオーストラリア戦では“天敵”ケーヒルに2ゴールを奪われ日本は1-2で敗れた【写真:Getty Images】

 しかし、この3分後に遠藤のFKがポストに当たり、跳ね返りを大久保が押し込んだ追加点がオフサイドと判定される不可解な現象が起きたあたりから、不穏な空気が漂う。

 中村や長友にイエローが出される反面、相手の微妙なプレーにはファウルもなしという不公平な判定が続き、試合は荒れ模様となる。後半に入って岡田監督は中村憲剛に代えて本田圭佑(パチューカ)、大久保に代えて矢野貴章(新潟)を投入し、攻撃の活性化を図るが、相手もパワープレーに出てくる。

 そこで長谷部がジェパロフをひじ打ちしたとして一発退場。中村を下げて阿部を入れ、守備のバランスを取ろうと指示を出した岡田監督も退席処分を食らうあり得ない状況に陥った。予期せぬ混乱に耐え抜き、後半ロスタイムをしのいだ日本は勝ち点3をゲット。本大会切符を手に入れた。

 こうやって振り返ると、過去の最終予選のうち南アW杯が一番スムーズだったかもしれない。突破後の最終戦・オーストラリア戦でケーヒルのヘッド2発で逆転負けを食らい、2位通過に甘んじたものの、重要なところでは絶対に負けなかった。それも修羅場をくぐらせたら誰にも負けない岡田監督の勝負強さゆえかもしれない。

 この最終予選では岡崎や本田など次世代を担う面々も成長し、世代交代も進んだ。ハリルホジッチ監督も同じことをやろうとしているようだが、果たして8年前の再現は叶うのか。若返りと結果という両方を手にして、ロシア本大会へ行ければ理想的なのだが…。

▼10年南アW杯アジア最終予選・日本代表の結果
・バーレーン戦(アウェイ):◯2-3
・ウズベキスタン戦(ホーム):△1-1
・カタール戦(アウェイ):◯0-3
・オーストラリア戦(ホーム):△0-0
・バーレーン戦(ホーム):◯1-0
・ウズベキスタン戦(アウェイ):◯0-1、W杯出場決定
・カタール戦(ホーム):△1-1
・オーストラリア戦(アウェイ):●2-1

(取材・文:元川悦子)

【了】

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