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日本代表 7年前

小林祐希のバランス感覚と我慢強さ。東京Vユース時代の盟友が語る、日本代表MFの素顔【The Turning Point】

シリーズ:The Turning Point text by 海江田哲朗 photo by Getty Images

W杯予選に臨む日本代表メンバーの中に小林祐希の名も

昨年11月以来となる日本代表復帰を果たした小林祐希
昨年11月以来となる日本代表復帰を果たした小林祐希【写真:Getty Images】

 このように高野は屈託がない。攻撃の人と守備の人。どうやらピッチ上の役割分担と大差ないようである。対人関係の緩衝材にもなれる高野を引き込んだ小林のバランス感覚は悪くないと感じる。

 引退後、高野は都内の実家に戻り、生活することになった。父親の広行は工業関係の職人で、ハンドボールの現役社会人プレーヤーでもある。日常生活のふとした瞬間、高野は何か聞きたそうにしている父の雰囲気を感じ取る。自分のことを少し心配しているんだろうなと察する。だが、敢えて仕事のことは話さない。

「きちんと報告できる成果を出せるまでは黙っているつもりです。僕、選手を辞めたときに思ったんですよ。いまの自分はひとりでは何もできないな、無力だなって。今年で25歳。30歳までには、自分ひとりで何かを成し遂げられる能力、スキルを身につけたい。そうなれるように、とにかく動けるだけ動こうと思います」

 この父と子は風貌が似ていれば、中身もよく似ている。人の気持ちに敏感で、目的を達するためには泥にまみれることを厭わない好漢である。

 24日、日本サッカー協会は、2018 FIFAワールドカップロシアのアジア最終予選、オーストラリア戦とサウジアラビア戦に臨む日本代表27名を発表。小林の名前はそこにあった。「ほら、おれの言ったとおりでしょ?」と笑っているだろうか。だが、口元を緩めるのはまだ早い。選手登録が可能なのは23名。そこに残らなければ、ピッチに立つ資格を失う。

 小林と高野は連帯し、小さな成功と失敗を積み重ねる鍛錬の日々を送る。それぞれのフィールドで何者かになろうとする、長い旅路の途中だ。

(取材・文:海江田哲朗)

【了】

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