DFに特に厳しい英国メディアから評価された吉田麻也
昨季途中から指揮を執るクレイグ・シェイクスピア監督は、オールラウンドな岡崎の能力を買って先発起用を続けている。但し、「彼はボールを持っていない時にも貢献してくれるが、もっとボックス内に顔を出せるようにしてやらなければ」という2節後のコメントからは、間接的に岡崎に得点増を求める意思も伺えた。
無論、本人は承知の上。「(ゴールが)続くようにしたい。(フルタイム)で出続けられるわけでもないし、信頼を勝ち取るにはシーズン2桁(得点)を狙う勢いで」と語っていたのは開幕節後のことだ。
一方、ゴールを許さないことが仕事の吉田は、サウサンプトンのCBとして開幕3試合にフル出場。2失点を喫したが、終盤から自らの意思で上がっていた“急造ターゲットマン”として、後半アディショナルタイムに決勝のPKを奪った2節ウェストハム戦(3-2)では、今季初勝利の主役として『サンデー・タイムズ』紙の「スター・マン(傑出した選手)」となってもいる。
『テレグラフ』紙でマン・オブ・ザ・マッチの評価を受けたのは、翌節のハダーズフィールド戦(0-0)だった。相手は今季昇格組で、決定的なチャンスの数で格上のサウサンプトンが上回っていたスコアレスドローは、ハイライト番組の『マッチ・オブ・ザ・デー』でも最後に回される扱い。
それでも吉田にとっては、DFに特に厳しいと思える国内メディアから受けた意義ある評価だ。
この手の試合では、俗に「居眠りをしていた」と表現される一瞬の集中力欠落が、格下に足元をすくわれる致命傷となりかねない。「チームメイトたちの筋量が3倍なら自分は3倍筋トレするしかない」との決意でフィジカルの壁を克服してきた吉田にも、「ポカ」を酷評された過去がある。
だが、現在は違う。ハダーズフィールド戦でも、ボックス内でのスライディングによるシュートブロックや1対1での勝利で要所を締めてみせた。