日本代表をけん引してきた大黒柱の意地とプライド
本田自身もメキシコから初めて日本に戻ってきたため、コンディションがどうなるかは未知数ではあるが、標高2400mの高地から平地に戻ってプレーできるアドバンテージは少なくない。
2010年南アフリカワールドカップでも、スイス・ザースフェーでの高地トレーニングの成果が出て、本田や松井大輔(オドラオポーレ)ら主力は走り切れる体躯を手に入れることができた。その時と同じようにいけば、メキシコではあまりやっていない右サイドでのアップダウンも存分にできるかもしれない。
6月のイラク戦でも存在価値を再認識させ、山口蛍(C大阪)に「やっぱり圭佑君が一番良かった。誰が軸かはっきりしたんじゃないかと思う」と言わしめた背番号4ではあるが、新大陸に赴いた今、新たな一面を示してくれる可能性は高い。
加えて、オーストラリアの高さ、フィジカルの強さを考えると、セットプレーや終盤のパワープレーの守備要員として182cmの本田がいた方が安心材料が増える。酒井宏樹(マルセイユ)との右サイドのタテ関係のスムーズさ、攻撃の崩しの多彩さを踏まえても、やはり今回は数々の修羅場をくぐってきたこの男に日本の命運を託した方がベターなのではないだろうか。
「過去1~2年の日本の出来とオーストラリアの出来というところの周りの評価もあるけど、4年前とは明らかに状況が違う。いい相手であることはもう間違いないですよね。でも当然ながら完璧なチームはないわけで、そこを突く準備、イメージは頭の中にはあります」と不敵な笑みを浮かべた本田圭佑。その口ぶりには、過去7年間、代表をけん引してきた大黒柱の意地とプライドが垣間見えた。
自身の完全復活、3度目のワールドカップでのキャリア集大成という2つの大目標を果たすべく、背番号4には自身の持つ全ての力と経験値を注ぎ込み、日本をロシアへと導いてもらいたいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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