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Jリーグ 7年前

名波ジュビロ、“疑惑の判定”で高まった闘志。「逆に火がついた」。川辺駿、勝利への執念

text by 青木務 photo by Getty Images

中村俊輔の欠場を受け、ポジションを一列上げた川辺

神戸戦では普段のボランチより一列前でプレーした川辺駿
神戸戦では普段のボランチより一列前でプレーした川辺駿【写真:Getty Images】

 メンバー表が差し替えられたのは、試合1時間30分前のことだった。出場予定だった中村俊輔が体調不良のためベンチから外れ、新しいメンバー表には上田康太がスタメンに名を連ねていた。その時点で彼とムサエフがボランチを組み、川辺が一列前でプレーすることが予想された。

 果たして、21歳のMFはより相手ゴールに近いエリアで攻撃の一翼を担うことになる。だが、川又堅碁、アダイウトンを含めた前線3人の配置は普段とは違っていた。

 中村俊輔が出場する際は右シャドーに入る。もちろん、10番には自由が許されており、ボールのあるところに必ず顔を出して攻撃を操る働きが期待される。

 しかし、数手先が見えるから守備のリスクも察知できる。例えば、中村俊輔が左サイドにいる状態で守備へ切り替わると、レフティーは周囲に指示を出し、アダイウトンに最前線を、川又には右サイドを見るようスライドさせる。それぞれのポジションが変動しても、1トップ2シャドーの形は極力崩さないようにしていた。

 川辺にもシャドーの一角の役目が与えられるかと思われたが、実際はアダイウトンと川又で形成する2トップのすぐ下でのプレーとなった。

 3人の形について、試合後の会見で名波監督に尋ねるとこんな答えが返ってきた。

「川辺がいることで最初から2トップにしていたので、前2人が並んでいる状況だった。90分全てとは言わないが、70%くらいはお互いが2m、3mのアングルを作って、必ず角度のあるところでお互いが見える位置にいてくれた。それがドリブルで運ぶカウンターが多く実った要因だなと。

 それから、川辺の位置も自由にボールサイドに顔を出していい、(低い位置に)落ちてもいいという中で、彼を経由して展開するというよりも彼が間、間を意識して、相手の守備を下げさせることを意識させた。『合格』とは言わないけど、まあまあだったかなと」

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