伝説となったジョホールバルの一戦。功を奏したカズ・中山替え
カズと呂比須が揃って出場停止となった11月8日のカザフスタン戦(東京・国立)では、代表復帰した中山雅史(沼津)と高木琢也(長崎監督)が爆発し、5-1で圧勝。最終的にUAEをかわして2位を奪回し、11月16日のイランとの第3代表決定戦に進んだ。
ジョホールバルのラルキンスタジアムでの前日練習。イランはダエイと強力2トップを組むアジジが病院に直行。車いすでホテルに姿を現すという「異例の駆け引き」もあった。イラン側の陽動作戦に象徴される通り、1枚の切符を手にするために何でもありなのが最終予選なのだ。日本はそれに動じることなく試合に入り、カズと中山が2トップを結成。前半40分に中田のスルーパスを受けた中山が先制点を挙げた。
しかし、後半1分、茶番劇を見せたアジジに同点弾を決められ、ダエイにも逆転ゴールを奪われた。そこで岡田監督は2トップの2枚代えを決断。これまで代表戦で一度も途中交代したことのなかったカズを下げ、城と呂比須を同時投入する。
その城が2点目を叩き出し、試合は延長へ。そしてご存知の通り、日本の飛び道具・岡野雅行(鳥取GM)がゴールデンゴールを挙げ、日本はアジアの壁をついにこじ開けた……。
この最終予選から言えることは、1つひとつの戦いで一喜一憂せず、最後の最後まで諦めずに戦い抜くことの重要性である。その過程では、監督交代や世代交代、ケガや環境の変化といったアクシデントはつきものだ。
今の日本代表もケガ人続出や主力の不調、監督采配やコンディショニングの不安などさまざまな懸念材料を抱えているが、言い訳は許されない。問われるのは結果だけ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も選手たちもそこだけに集中し、ラスト2戦を乗り切るべきだ。
▼98年フランスW杯アジア最終予選・日本代表の結果
・ウズベキスタン戦(ホーム):◯6-3
・UAE戦(アウェイ):△0-0
・韓国戦(ホーム):●1-2
・カザフスタン戦(アウェイ):△1-1、加茂周監督更迭。岡田武史コーチが監督に就任
・ウズベキスタン戦(アウェイ):△1-1
・UAE戦(ホーム):△1-1
・韓国戦(アウェイ):◯0-2
・カザフスタン戦(ホーム):◯5-1
▼アジア第3代表決定戦
・イラン戦(中立地):◯3-2、W杯出場決定
(取材・文:元川悦子)
【了】