「今の中心選手たちが抜けたら」とは言わせない
関西出身の杉本、昌子、宇佐美は小学校時代に関西トレセンで一緒にプレーした間柄。杉本、柴崎、小林もU-17代表でともに戦ったことがある。最終的に小林は2009年U-17ワールドカップ(ナイジェリア)から落選したが、それが糧になったと話す。
「10代の頃、評価されていたプラチナ世代の選手は、球扱いに優れていて、自分がいい形でボールを持てたら素晴らしいプレーができるタイプが多かった。だけど、後からA代表になった選手はそうじゃない。自分も宇佐美みたいなうまい選手を見てプライドをへし折られたし、武藤も昌子も技術はそこまでじゃないかもしれないけどタフに戦える。そういう個性は大きい」というレフティの説明は、まさにその通りだろう。
ハリル監督に満を持して抜擢された杉本にしても、単にうまいだけでなく、1~2年でゴールへ突き進む貪欲さと力強さを前面に出せるようになり、結果もついてきたからA代表に引っ張られた。ロシア行きを左右する最終決戦に大量5人が呼ばれた事実はやはり見逃せない点だ。
「長谷部さんや本田圭佑(パチューカ)さんといった今の代表の中心選手たちが抜けたら、日本はアジアですら勝てない時期が続くかもしれないと思われてるけど、そんなの冗談じゃねえって感じ。そんなこと絶対言わせない」と小林は独特な言い回しでプラチナ世代の重責を語っていたが、それは他のメンバーにも共通する思いだろう。
「今回の代表は92年組が多い。新しく呼ばれた健勇はヘディングの競り方に長けていて、ウチのナオ(植田直通=鹿島))があれだけ苦戦するのはあんまり見たことがない。やっぱりすごい選手だと改めて感じました。岳も長谷部さんみたいに『こいつについて行ったら勝てるんじゃないか』って思わせる雰囲気を持っている」と昌子は同世代へのリスペクトを改めて口にする。
一方の杉本も「昌子のような選手が後ろにいてくれたら心強い」と26日の鹿島戦後に神妙な面持ちで話していた。そうやって彼らがお互いに敬意を払いつつ、切磋琢磨し、成長していけば、日本代表の若返りはより一層進むに違いない。