なす術もなく敗れ去ったKリーグオールスター
“アジアの虎”こと韓国サッカーのKリーグオールスターが若きベトナム代表になす術もなく敗れ去ったことは、韓国国内でかなりショッキングなニュースとして受け止められたようだ。
この試合は、ベトナム‐韓国の修好25周年記念事業の一環として、ベトナム市場開拓を目指す韓国側が企画したもので、ベトナムの首都ハノイにて7月末に開催された。一方のベトナムは、“東南アジアの五輪”と呼ばれるSEA Gamesマレーシア2017を間近に控えていることから、U-22代表の戦力強化の場という位置づけで、この試合に臨んだ。
SEA Gamesは、ベトナムをはじめとした東南アジア各国において、W杯予選や五輪予選よりも重要な大会と言われている。前回大会までは、男子サッカーは23歳以下が対象だったが、今大会から22歳以下が対象。
この年代のベトナム代表は、国内で絶大な人気を誇る“コン・フオン世代”と“U-20W杯初出場組“の混成チームとあって、国民の間では、悲願のSEA Games初優勝への期待が高まっている。そんな中で行われた国内最後の親善マッチだったため、ミーディン国立競技場には、2万5000人ものファンが詰めかけた。
U-22ベトナム代表の主軸は、既にA代表にも名を連ねているFWグエン・コン・フオン(元水戸)、MFグエン・トゥアン・アイン(元横浜FC)、MFルオン・スアン・チュオン(江原)、MFグエン・バン・トアン、DFブー・バン・タインなど、名門育成機関ホアン・アイン・ザライ(HAGL)アーセナルJMGアカデミー出身のメンバーだ。(※現在はアーセナルとの提携は終了)
このうち、Kリーグ移籍2シーズン目のルオン・スアン・チュオンは、所属クラブで出場機会に恵まれていないことから、試合勘不足が懸念されている。
その他のベトナムのメンバーを見ても、アンダー世代の代表で長い間一緒にプレーしてきた者が多く、またベトナムでは、代表の活動が最優先となるため、合宿期間が十分にとれ、チームとしての完成度はベトナムに分があった。そんなベトナムが、2泊3日の強行日程で、明らかに準備不足のKリーグオールスターの守備陣を混乱に陥れるのは、さほど難しいことではなかった。