トップ下&1トップをこなせる本田。“偽9番”は適任か
“偽9番”のメリットは左右のウィングが高い位置を取れてさえいれば、多少中央から動き回り、引いて中盤と絡んでも、相手のDFラインをプッシュアップさせることなく中央のスペースを確保できるということ。もともとMFの選手であるサガルをアロンソ監督が3トップの中央で重用するのもそうした役割を求めるためだろう。
トップ下の資質があり、必要なら1トップもこなせる本田は確かにこの役割に適している選手かもしれない。ただ、パチューカの攻撃において戦術的な機能のカギを握るポジションはそれだけ責任が重くなる。
パチューカでサガルの他にこの役割を担いうる選手はベラクルス戦で本田と同時に投入されたホセ・マルティネス、289番を背負う17歳の逸材ロベルト・デラロサあたりだ。
対するティファナは昨季の前期リーグと後期リーグの両方で1位となった強豪。リギージャと呼ばれるトーナメント方式のプレーオフで前期は準々決勝、後期は準決勝で敗れたものの、チーム力の評価はメキシコでも上位だ。現在12位と躓いており、代表ウィークによる中断を前に浮上のきっかけを掴みたいだろう。
エースはここまで3得点のアルゼンチン人FWグスタボ・ボウだが、3日前にはセリエAのローマからはフアン・マヌエル・イトゥルベも獲得しており、デビューが待たれている。
パチューカとしては敵地でティファナの攻撃陣をしっかりと止めながら、いかに自分たちのリズムで良い時間帯を作っていけるかがポイントになる。時には前線の10番ホナタン・ウレタビスカヤや本田を起点としたカウンターも有効になるだろう。
[4-4-2]というオプションは持っているが、開幕戦から[4-3-3]を使い続けてようやくチームが上向いている状況であり、アロンソ監督としても継続させたいだろう。背番号2を背負う本田が“偽9番” として新境地を開拓するのか、インテリオールのポジションで攻撃を組み立てるのか、ベラクルス戦に続くゴールも期待されるが、起用法にも注目したい。
(文:河治良幸)
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