公式戦復帰前の日本代表メンバー入り
8月31日のオーストラリア戦(埼玉)と9月5日のサウジアラビア戦(ジェッダ)の2連戦は2018年ロシアワールドカップアジア最終予選突破のかかる正念場。日本はいずれかの試合で勝利できれば6大会連続となるW杯への切符を手にできるが、相手はどちらも難敵なだけに、決して楽観は許されない。
最終決戦に挑む代表メンバー発表が24日に都内のJFAハウスで行われたが、大きな関心事の1つがエースFW大迫勇也(ケルン)の動向だった。7月31日のボローニャとの親善試合で右ひざを負傷。「少なくとも3週間の離脱」とクラブ側から発表されたことで、今回の2連戦に間に合うか微妙な情勢となっていたのだ。
8月20日の今季ドイツ・ブンデスリーガ開幕戦のボルシア・メンヒェングラッドバッハ戦もベンチ外となり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が公式戦に復帰できていない彼の招集に踏み切るかは不透明と言わざるを得なかった。
しかしながら、FWのリストには彼の名がしっかりと記されていた。
「大迫は10~12日間、別メニューをしていたが、ここ1週間は合流し、今週末は試合にも出る見通し。代表とクラブのメディカルスタッフもポジティブだ。プレシーズンもいい準備をしているので、早めにトップフォームを取り戻せると思う」と指揮官はあえて抜擢に踏み切った理由を説明した。
リスク覚悟でメンバーに入れたのは、彼に絶大な信頼を寄せているから。昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)から1トップの座に君臨する26歳のFWは前線でボールを収め、起点を作る仕事でチームに大きく貢献している。6月のイラク戦(テヘラン)では本人が渇望していたゴールもゲット。それも苦手だったヘディングでの先制弾だった。
「(鹿児島城西)高校時代はヘディングの得点は少なかったですが、鹿島アントラーズ時代の先輩・岩政大樹選手(東京ユナイテッド)にアドバイスを受けながら自分のものにしていったようです。最近のドイツでのプレーを見ていても、得点のバリエーションが格段に増えたと感じます」と同校の恩師・小久保悟監督が言えば、鹿児島育英館中学校時代の恩師・山平義幸監督も「ハングリー精神と向上心、我慢強さは昔から頭抜けていました。そのメンタリティがあったから、大舞台で仕事ができる選手になれた。後輩のいいお手本になっています」と嬉しそうに話す。彼は地元・鹿児島の人々からの力強いサポートを受け、ここまで成長してきたのだ。