ライバル達がゴール。本田も負けずに価値を証明
パチューカを率いるウルグアイ人のディエゴ・アロンソ監督は前節のモレリア戦と同じ布陣でベラクル戦に臨み、加入して初めて公式戦のメンバーリストに名を連ねた本田はベンチスタートとなった。4-4-2のブロックを作るベラクルスに対し、4-3-3のパチューカは最終ラインから丁寧にボールをつないで攻勢をかける。
前半14分にはグティエレスを起点に左ウィングのエリック・アギーレがグラウンダーのクロス。これに左足で合わせたサガルのシュートはGK弾かれたが、リバウンドをサガルが蹴り込んで先制点を奪った。このゴールで試合の主導権を引き寄せたパチューカは本田のライバルでもあるグスマンが持ち前の機動力でチャンスに絡む。
前半32分にアギーレとの交代で入ったチリ代表エドソン・プッチのシュートがクロスバーを叩くと、グスマンがタイミングよく詰めて追加点。さらにウルグアイ代表FWジョナタン・ウレタビスカヤのシュートで得た右のCKから、そのウレタビスカヤの速いキックにグスマンがダイビングヘッドで合わせて3点目を決めた。
これで右インサイドハーフのグスマンは前節のモレリア戦と合わせ2試合4得点。左インサイドハーフを担うメキシコ代表MFグティエレスも先制点と2点目の起点になっており、本田のデビュー前に中盤のライバル達がしっかりアピールしていた流れで、この日は前線での出場となった本田が負けずに価値を証明するゴールをあげた。
そういう意味でも本田の加入はチームに良い相乗効果を生んでいるようだが、パチューカとしては喜んでばかりもいられない。前半のアクシデントで交代したアギーレに続き、代わりに投入されたプッチ、さらにはグティエレスも競り合いの着地で足を痛めた。攻撃的な中盤とウィングの3人が離脱となれば、4日後のティファナ戦でアロンソ監督は苦しいやり繰りを迫られる。
それは本田のスタメン出場の可能性が高まることも意味するが、上々のデビュー戦を飾った日本代表レフティにとっては、ティファナ戦こそスタートから勝利に貢献できる能力を証明すべき機会となるかもしれない。
(文:河治良幸)
【了】