「100年後でも語り継がれる」チームになるために必要なこと
2007年11月14日には、永井雄一郎がそれを実現させた。セパハンと対戦したACL決勝2ndレグの22分に合計スコアを2-1とする勝ち越しゴールを奪い、レッズを栄光へと導いた。だがその後のレッズがさらなる勝利を積み上げられなかったことには、彼も他の者たちと同じく驚いている。
「あの勝利は何かの始まりになるように感じられましたが、何らかの理由でそうはなりませんでした」と、現在ザスパクサツ群馬に所属するFWは語る。「難しいものですね。それがサッカーです。今年はチャンスがあると思います。2007年には僕らがACLで優勝しましたが、2008年にはガンバに負けてしまって、ガンバがそのまま優勝しました」
「同じ国のチームと対戦する方が難しいんじゃないかと思います。お互いをよく知っていますからね。もちろんどのチームも常にスカウトはしていて、全ての相手について知ってはいますが、知っているレベルが全く違います。だから本当に難しいゲームになりますが、そういう試合に勝つことができれば、さらに上へ行くために大きな後押しになる可能性があります。勢いをつけることがすごく大事かもしれません」
一方で闘莉王は、観客席から与えられるエネルギーこそが10年前のレッズにとって決定的な意味を持っていたこと、そしておそらくはそれが今のレッズに欠けていることを感じている。「率直に言えば、当時の埼スタはいつも満員でした。今と比べてしまうと、サポーターの熱気には差があると感じられますね」と、J2の京都サンガでプレーする元日本代表のスター選手は語った。
「ファンとチームが本当にひとつになった時には、相手にもそれが感じられると思います。埼玉に来て勝つことはできないと。彼らに囲まれてピッチの中に立つと、選手として本当にリスペクトされていると感じられました。そういうチームを実現するのは簡単ではないですし、そういう選手たちやチームは100年後でも語り継がれるでしょうね」
それは確かにその通りだろう。今年の選手たちが当時と同じ偉業を成し遂げられれば、リーグ戦での低調な戦いも帳消しとなり、彼らの名前はクラブの歴史に刻まれることになる。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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