「なんであんないい子なんだろう」と中村憲剛も驚く人柄の良さ
本人も「できるだけ多くボールを受けたいタイプの選手」と語り、「もっとボールがほしい(笑)。チョーダイ、チョーダイ、ボールチョーダイ」と日本語を交えてアピールしていた。ボールを持っていれば類い稀な創造性を発揮できるのは、これまでの5試合で証明済みだ。
もちろんチームメイトたちからボールをもらうために努力も怠らない。「日々、コーチやスタッフから一生懸命学びながらやっているし、これからも学び続けなければいけないと思っている。試合に出てプレーするには、みんなから信頼されることが大切ですから」とはチャナティップの言葉。
「あまり考えすぎずに、ボールを持ったら自分のやりたいようにプレーしたらいい」という先輩・小野伸二からのアドバイスもプレーに生きているようだ。とにかく非常に勤勉で、日本での経験を心から楽しんで、あらゆるものを吸収しようとしている。
「最初から本当に、特に不安はありませんでした。幸せを感じてやっています」という言葉にも嘘はないだろう。とにかく明るく朗らかで笑顔を絶やさない。
“微笑みの国”からやってきた人柄の良さは川崎Fの重鎮・中村憲剛も認めるところだ。「いい子なんだよ。リスペクトしてくれているんだよね、たぶん。ユニフォームも『交換してくれ』って言われたのでしたし、なんかね、ちょっと嬉しいですね。いい子なんだよ、マジで。悪意がなさすぎて…なんであんないい子なんだろう」と札幌戦の後に話していた。
確かにチャナティップは試合を終えて一度ロッカールームに戻ると、通訳をともなって川崎F側のエリアへと入っていった。その後、戻ってきた彼の手はスカイブルーのユニフォームを握りしめ、顔には満面の笑み。嬉しそうに自分たちのロッカールームへ帰っていった。
中村憲剛は言う。「もともといい選手ですからね。速いですし、パスも出せますし、これから日本にフィットしていったらもっともっといい選手になる」と。チームメイトのジェイも「僕とはいい連携を築けていると思う。10番らしいプレーをするね。後半、ボールをもらって何度もいいプレーを見せていた。上手いよね。試合ごと、練習をするごとに良くなっていくと思うよ」とチャナティップのポテンシャルに太鼓判を押す。