加入から7ヶ月…時間とともに進むイメージの共有
リーグ前半戦は、得点が生まれそうなゾーンにボールを送ってもなかなかうまくいかなかった。ボールの質も、味方の走り込む迫力もあったが、相手に競り負けてしまう。しかし、後半戦に入ると状況が変わった。
第19節・川崎フロンターレ戦は櫻内渚が、翌節のサンフレッチェ広島戦では大井健太郎が、それぞれCKからヘディングシュートを決めている。前節のガンバ大阪戦でもFKから大井とアダイウトンの頭にピタリと合わせ、C大阪戦では「いつも心がけている」というショートコーナーからゴールを生み出した。
名波監督は、キッカーと中の選手が特徴をわかり合っていると指摘していた。1月に始動してから7ヶ月。時間の経過と共に肉付けされたものが、今回の同点弾を呼び込んだ。
改めて振り返ると、C大阪戦は磐田にとって重要な試合だった。リードを奪われた後で何ができるか。成長や地力、反発力といったものが試されていた。
「そろそろ先に点を取られる試合も出てくる。そうなってからが勝負」
連勝を重ねていたある日、中村俊輔は積み上がる勝ち点に浮かれることなく話した。
「もし先制されたとしても、粘り強く0-1から1-1に持っていければ、チームにとってプラスにしかならない。一歩一歩進んでいるから。2点先に取って勝つ方がいいかもしれないけど、そういうの(追いかける展開)にも対応してみたい」
第20節で広島に逆転負けを喫し、連勝が6でストップ。続くベガルタ仙台戦はスコアレスドローに終わったが、G大阪を2-0で下して3試合ぶりの勝利を掴んだ。そしてC大阪戦の前日、中村俊輔は言葉に力を込めた。
「次こそ死に物狂いでやらないといけない。ガンバ戦で勝ったからこそ次が大事」
【次ページ】勝ち点をもたらすこと以外の貢献