格下が恐れおののくマンUの迫力。今季の優勝有力候補に
引いて守る格下との対戦や実力拮抗の強豪対決では、高さや強さが物を言うセットプレーが勝敗を分けるケースもある。今季のユナイテッドは真剣にデカい。例えば、奮闘していたスウォンジーからハーフタイム前に奪った先制点。コーナーキックからの得点には相手のゾーンマークを問題視する向きもあるが、マンマークで対応できる駒が足りないチームは他にもあるはず。
あの場面では、ヘディングがバーを叩いたポグバの他にルカクとマティッチも身長190センチ台。リバウンドを押し込んだバイリーとマーカス・ラッシュフォードは180センチ台だが、平均身長188センチのユナイテッド選手5名が相手ゴール前に並んでいた。
『スカイ・スポーツ』のスタジオ解説を務めたティエリ・アンリは、試合後に「対戦相手はユナイテッド戦で1-0にはされたくないだろう」と言っていた。昨季ならば逃げ切られる恐れを意味していたところだが、今季は「打ちのめされる恐れ」を意味する発言だ。90分間を眺めれば4点差で負けるほど悪くはなかったスウォンジーにしても、終盤の4分間で3点を追加されてノックアウトされた。
開幕戦でやられたウェストハムのスラベン・ビリッチ監督が「あのフィジカルとスピードの共存は恐ろしい。他チームもウチの二の舞になるだろう」と言っていた通りの結果となった。
スウォンジーは先制機を逃してもいたのだが、追う展開となった場合の今季の精神力はまだ試されていない。いわゆる強豪同士の対戦も10月半ばのリバプール戦までお預けだ。とはいえ、現実主義の指揮官らしい強靭さと、クラブ伝統の攻勢が共存しつつあるチームは末恐ろしい。格下を圧倒し、同格からも勝利をもぎ取り得る「モウリーニョ率いるユナイテッド」は、今季プレミアの優勝有力候補だ。
(取材・文:山中忍【ロンドン】)
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