チームの武器となった圧倒的フィジカル能力
中盤中央には、モウリーニョがチェルシーでの前回優勝時に信頼を置いていたネマニャ・マティッチを獲得。ウェストハムに圧勝(4-0)した今季開幕戦でマン・オブ・ザ・マッチに輝いた新ボランチが、守備範囲の広さと起点としてのパス能力で、昨季開幕戦で先発したマルアン・フェライニからのグレードアップであることに疑いの余地はない。
コンビを組む相方の信頼度が増せば、ポール・ポグバが攻め上がる頻度と自由度も増す。第2節スウォンジー戦(4-0)、終盤82分にハーフウェーラインから駆け上がってチップキックでネットを揺らしたシーンが好例だ。
そのチーム3点目を右足アウトサイドによる絶妙のパスで演出したヘンリク・ムヒタリアンは、今季の自信を体現し、かつ発言もしている選手の1人。第2節後のヒーローインタビューでは、チームの「スピリット」と「一体感」を好スタートの理由として挙げてもいる。彼自身、昨季は開幕をベンチで迎えた身。その後も怪我の不運と結果重視を余儀なくされた戦術の影響で、創造性の持ち主には不本意なシーズンとなった。
だが今季は、指揮官からして「相手チームの方が戦力的に上だとか、1ポイント獲得でも悪くはないなどと考えて試合に臨むことはもうない。どの試合でも勝ちにいく」と公言している状態。本領を発揮しやすいチャンスメイカーは、昨季プレミアでの1アシストを上回る4アシストを開幕2戦で記録済みだ。
そのうち2度のアシストを受けているルカクは、得点面でもリーグ戦17ゴールだったイブラヒモビッチの穴は埋るという期待と共に、チームのパワーアップを示す象徴でもある。グレアム・スーネスのように「所詮モウリーニョは、苦しくなればロングボールでダイレクトに攻めるつもりだ」と否定的な識者もいる。だが、フィジカルをチームの武器の1つとして持っているに越したことはない。