焦りはなし。特長をいかせるという確信
もちろん香川は長期的な視野を忘れてはいない。
「焦りは全くないですね。ただ、やはり、試合に出たい気持ちは強いですし、今日も5分、10分くらいだったので、そこはフラストレーション、多少なりともありますけど、ただこれから長いシーズンだと思っているので、全く時間は問題ないし、しっかりと継続して一歩一歩進んでいきたいなと思います」
それでも出場時間が短いことで感じる「フラストレーション」。それは「自信」があるからこそ生まれる感覚なのかもしれない。アーレン戦の試合後に「さらに自分の良さをこのチームに植え付けて行けたらいい」と語った香川。ボス政権下における自分自身の“強み”を意識している。
「攻撃で前を向くことだったり、テクニックっていうのは、この(チームの)中でも自分自身、特に自信を持っているところなので。スピードのある選手は多いですけど、やっぱりテクニックだったり、厳しい状況でボールを受けるってことを考えた時に、自分自身がそこに長けていると思うので、それを上手くバランスを取りながらやれれば、自分自身はもっと生きてくると思う」
そして今の香川にはリーダーとしての自覚がある。
「自分が入ったら自分が中心にならないといけない。それを意識してやらないと、チームに合わせていたら恐らくまた中途半端な結果に終わると思っている。もうこのチームで長いですし、ピッチに入ったら自分自身がやるっていう気持ちがなきゃいけない歳なので。そういう意味では代表でもクラブでも、僕がしっかりとやっていきたいなと思っています」
ドルトムントの一員であり続けていることの、日本代表の10番であることの誇り。プライドを胸に秘め、仲間たちを牽引し、“強み”を発揮していく。そうやって香川の出場時間は、「一歩一歩」、増えていくはずだ。
(取材・文:本田千尋【ボルフスブルク】)
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