今こそ彼らの実績と能力を再評価すべきではないか
「谷間の世代」は「黄金世代」よりも日本代表の主軸に上り詰めるまでの時間はかかったかもしれないが、彼らには上に引けを取らない潜在能力があった……。そんな前向きな評価が急増したのも事実だろう。
アルベルト・ザッケローニ監督が率いた時代も、チーム発足当初は闘莉王、阿部、松井、岩政が名を連ねていた。岡田監督時代にあまり重用されなかった前田遼一(FC東京)も招集され、1トップに定着する。2011年アジアカップ(カタール)以降も岩政と前田はコンスタントに呼ばれ、呼び戻された駒野も重要な局面で起用された。
2012年9月の2014年ブラジルワールドカップアジア最終予選・イラク戦(埼玉)では、駒野のスローインを受けた岡崎慎司(レスター)が蹴り込んだクロスを前田が頭で押し込んだ1点で貴重な勝ち点3を挙げている。
駒野と前田の2人はブラジル本大会には行けなかったものの、最終予選までは際立った働きを見せていた。そして本大会には82年生まれではあるがアテネ世代の生き残りである大久保がサプライズ選出され、ラストサムライとしてワールドカップの大舞台に立った。
このように、81年組は約10年間に渡ってオシム、岡田、ザックという3人の代表指揮官に要所で大きな仕事を託されてきた。2014年ブラジルワールドカップ以降、代表招集はほぼなくなったが、Jリーグでいぶし銀の活躍を見せている。
81年組の選手が36歳になる今年、Jの舞台で恒常的にピッチに立ち続けている選手は79年組の36歳時点より多いかもしれない。今こそ彼らの実績と能力を再評価すべき時期に来ているのではないだろうか。
81年組の生きざまを振り返ることは、日本サッカー界の大きな糧になるはず。「谷間の世代」と呼ばれた面々に今一度フォーカスし、その存在価値を再検証してみたい。
(文:元川悦子)
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