シャペコエンセが見せた「戦う」姿勢。スルガ銀行杯の意義
長距離遠征の疲れからか明らかに動きは重かったが、0-0で終盤を迎えると相手のセットプレー時にボールを渡さず、わざわざ何人かの味方を経由して返すなど、「90分間で引き分けの場合は即PK戦」というレギュレーションを利用して貪欲に勝利を目指す姿勢を見せた。
納得いかない判定には必死に食い下がった。後半アディショナルタイムのPKにつながるファウルの場面、判定に不満なシャペコエンセの選手たちは主審を囲んだ。その間にプレーが進まないようペナルティスポットに立ってボールを置かせないようにする選手、ゴールマウスに立たないGK…監督やスタッフ、控え選手たちもベンチから飛び出して無実を訴えた。
グローリは「試合の最後は取り乱してしまって、皆さんに申し訳ないと思っている。誰かの気に障ったのなら謝りたい。亡くなった友人たちのためにも、このタイトルを本当に獲りたかった」と謝罪した。もちろん戦う姿勢を見せるのはピッチの上だけである。
シャペコエンセ復帰が発表された昨年12月の記者会見で、彼は自らが育ったクラブへの思いを語っていた。
「ここに戻ってこられて心の底から嬉しい。僕はここで生まれ、このクラブからたくさんのものを与えてもらい、サッカーをしてきた。いま、僕はシャペの再建を助けるという非常に大きな目標を持っている。この場所に戻ってくる理由であり、素晴らしい1年を過ごせることを祈っている」
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