「『次のオーストラリアに勝てばいい』はすごく危険」
川島がスタメンに復帰してから、日本代表には新たな活力が生まれていた。
3月シリーズはUAEとタイに連勝。6月のイラク戦も開始8分に大迫が先制点を奪い、勝ち点3を手にできるはずだった。ところが、後半25分に原口元気(ヘルタ・ベルリン)と倉田秋(G大阪)が交代した直後にアクシデントが続出。吉田麻也(サウサンプトン)と川島の判断にズレが生じ、手痛い失点を喫することになった。
「GKとしてはああいうシーンが出てきた時に芽を摘みたかった。過酷な条件下のゲームだったし、90分間で1〜2本(相手のチャンスが)来た時にしっかり対応するイメージを持っていたたので、失点はすごい悔しかった。後半は給水タイムがなくて、みんなの疲れが見えてきた時間帯だったし、麻也との連携の部分も簡単に言ってしまえばコミュニケーション不足だと思う。ゴール前はハッキリしなければいけないし、あのシーンまではホントにハッキリしていたので、それこそ悔いが残る失点でしたね」と川島は“勝ち点2”を落としたドロー劇を振り返った。
6月のイランでは、久しぶりに「真のアウェイ」を実感したという。
「今は中東も環境が整っていて、UAEやカタールでやる時はピッチもよくなっているけど、前回のイランは『中東に来たな』と久々に感じました。そういう環境では、どんなに自分たちのリズムで進んでいても理屈でいかないことが多い。あのイラク戦も勝てば残り2試合は引き分け以上でW杯が決まるとわかっていたけど、計算できるものではなかった。ホントにタフじゃないとダメだなと強く思いましたね」と彼は言う。
最終戦のサウジ戦も酷暑のジェッダであることを考えると、何とかホームのオーストラリア戦で勝負を決めておきたいところ。ただ、数々の修羅場をくぐってきた川島はその楽観的なムードに釘を刺した。
「『次のオーストラリアに勝てばいい』という考え方はすごく危険。周りの人たちがポジティブに考えるのはいいけど、僕ら自身は安易な気持ちでは絶対に臨めない。厳しい試合になることを前提に、どれだけ準備できるかが大事だと思います。欧州組はシーズンが始まったばかりだし、コンディションのばらつきがあるかもしれないけど、代表に来たら言い訳はできない。最高のパフォーマンスを出さなければいけないんです」