アメリカのスポーツ界に浸透したAI。一方、日本では…
また、単にデータ総量が多くなれば正しいAI予測ができるとも限らない。過去10年分のデータを利用する場合より、直近の3年分のデータを利用した時の方が予測の正答率が高くなる場合もあるという。金島氏は「アスリートは10年で衰えることも、スタンスが変わってしまうこともある。それが正答率の差に関わってくる」と指摘する。
AIはただデータを分析するだけではない。選手やチームがAIからはじき出された情報を利用しやすいように、プレーの良し悪しなどを機械学習させることにより客観的に評価して、付加情報を与えることもAIのできる仕事である。
データ活用による影響が最も顕著なのはMLBだ。各球団はまだ能力が開花していない選手を分析して安く買い、能力が開花した後に高く売って多くの収益をあげるということに、AIを利用している。選手の成長予測という分野での活用だ。
ただし、現状では日本におけるAIについての理解はアメリカほど進んでいない。AIを含め最新のテクノロジーには否定的な意見も多くある。特にジャッジ(審判の判定)への導入に関しては「人間味が失われて魅力が損なわれる」という声もたびたびあがる。
人間がジャッジしている以上、スポーツにミスジャッジはつきものだ。そこで“ドラマ”も生まれるだろう。ただ、そのようなミスジャッジがなければ、より多くの人が納得する形での、新たなドラマが生まれるとは考えられないだろうか。