久保建英との縁をつないだ中村俊輔との交流
日本代表の長友佑都や、なでしこジャパンのエース永里優季ら海外で活躍する選手をはじめ、札幌で活躍するストライカー、都倉賢などを個人的に指導してきた中西氏。だが、指導の対象はトップの選手に限定しているわけではない。教えを求められれば、アマチュアやユースの選手を指導することも厭わない。
中西氏がジュニア年代から指導を続けているのが久保建英だ。小学校時代には川崎Fのジュニアチームに在籍していた久保は、2011年から2015年までバルセロナの下部組織に所属。当時から“久保くん”の愛称でサッカーファンの期待を集めたが、クラブの事情で帰国した後もFC東京で順調に成長を続け、15歳でU-20ワールドカップのピッチに立つまでに成長した。
日本中の話題を集めた久保をパーソナルコーチとして支えてきた中西氏は、常に研究や分析を重ねながら得た最新の情報と論を久保に伝えることにより、自身の解説にも役立てているという。そのサイクルに大きな影響を与えていたのが、中村俊輔との交流の中で得た生の情報だ。
――久保建英選手を指導するに至った経緯には、中村俊輔選手との交流が1つの起点になっているそうですね。
中西「自分がアーセナルでの研修で肌身に感じたことをどう生かすべきかと考えて、編集したプレー映像を中村俊輔選手に渡すようになったのがきっかけですね。『哲生さんは色んな試合を観ているから、もし俺ができていないキックとか、新しく取り入れられそうな技術があったら教えてください』と中村俊輔選手に頼まれて、彼にDVDを渡していたんです。そこから選手の1つひとつプレーが気になり始めて、ずっと選手のプレーに着目して観るようになりました。そうした作業を継続的に続ける中で、選手に個人指導をするようになり、現在の久保建英選手のパーソナルコーチに行きついたわけです」