「浦和レッズがいるべき順位に戻ってくれると信じています」
もっとも、関根はファンやサポーターの記憶のなかで眩い輝きを放ち続け、永遠に語り継がれる奇跡のゴールをすでに決めている。それも、現時点でのレッズにおける最後のゴールとして。
連敗を3で止めた7月1日のサンフレッチェ広島戦。3‐3の同点のまま突入した後半アディショナルタイムにハーフウェイライン付近からドリブルを仕掛け、5人を抜き去って劇的な決勝弾を突き刺した。
「プレーひとつで見ている人々の心を動かせるんだ、というのを肌で感じられたので。ああいうプレーを毎試合出せるように、これからも頑張っていきたい」
全身を駆けめぐった、たとえようのない喜びを再び追い求める舞台はドイツへと変わる。首位のアントラーズと勝ち点13差の8位と、依然として苦戦を強いられるレッズから旅立ったいま、新天地で眩い輝きを放つことが愛する古巣の背中を押すと信じてやまない。
「自分のポジションにも数多くのいい選手が育っているので、何も心配することはない。これからまた調子を取り戻して、もともと浦和レッズがいるべき順位に戻ってくれると信じています。サポーターの方々とあそこまで近くでしゃべることはなかなかなかったけど、やっぱり特別な存在だと感じました。
日本一のサポーターの前で日々、成長できた環境があった。尊敬できる先輩たちも大勢いて、ピッチのなかではいつも頼りっ放しで助けられてもきた。浦和レッズのプライドをもってドイツで戦ってきたいし、もっと個の能力を磨いて、タフに戦える選手に成長した姿を見せられたらと思う」
ファンやサポーター、チームメイト、首脳陣や移籍を容認してくれたフロント、アウェイのレッズに試合後のセレモニーを認めてくれたヴァンフォーレ、何よりも未来永劫に愛し続けるレッズというクラブへの感謝の思いを新たな力に変えて、167センチ、61キロの「サムライドリブラー」の新たな挑戦が幕を開ける。
(取材・文:藤江直人)
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