日本代表の大枠30人ではなく18人に入りたい
「刺さった言葉はノートに書き留めています。これを言うのは恥ずかしい」
――ほら、せっかくそこにノートがあるんだし、御開帳といきますか。
「いや、それは」
――あ、ダメだぞ。その態度は小林祐希じゃない。
「簡潔に説明する。長いから簡潔に」
――どうぞ。
「おれは常に成長したい。常に新しいことを採り入れながら、せわしなく、ずっと自分と戦ってきた」
――はい。
「それを一回やめよう。無理に進まない。いったん立ち止まるということをトレーニングしています」
――それ、わりと読者に伝わりづらいね。
「たとえば、壁にぶつかったときゴリゴリいくのではなく、止まってみる」
――少しわかった。止まることによって、見えてくるものがある。
「意識的に止まる」
――さらに一歩下がれば、見通しが変わることも。
「いままでは強引に乗り越えようとしたけれど、やり方はひとつじゃない」
――あらためて踏み出した一歩によって、これまでとは違う景色が拓ける。
「けっして焦らない。焦っても焦らなくても過ぎる時間は同じ」
――ちょっと君、僕の言っていることは合っているのかね。
「合ってる合ってる」
――そういうところなんだよ、小林祐希。
「とにかく、それをいま意識しています。たくさんの人から訊かれるんですよ。どこを伸ばせば代表に定着できる? 来季もっと成長するには? そういった質問には、何もしないことですかね、我慢です、と答えています。
現在の自分の取り組みは、全部正解だと思っているから。トレーニングはしっかりやっている。試合にも出られている。ヘーレンフェーンはいいチーム。食事も気をつけている。生活も見直した。何ひとつ間違っていない。
どれほど突進したところで、ハリルホジッチ監督におれの声は届かない。大事なのは、目に留まるようなプレーをしていくこと。魂を見せつけること。そして、あとはチャンスがくるのを待つだけ。そのためには心を落ち着けて、物事に対処しないと」
――バックアップメンバーに選ばれるということは、構想の大枠には入っている。
「いつも30人には入っていると聞いています。おれは18人に入りたい。だから、関係者にはそんな報告はいらないと言っています。いつでも呼ばれたらちゃんとプレーできるから、本決まりになったら伝えてほしいと」