世界的なアタッカーがJリーグにいることの相乗効果
文字通り若い力を結集させて、もぎ取った4試合ぶりの白星。暫定首位のセレッソ大阪、同2位の鹿島アントラーズに食らいつく3位に浮上しても、下平監督は勝って兜の緒を締めることを忘れなかった。
「駆け引きといった面で、中谷のイエローカードはもったいなかった。相手が一枚上手だったという場面を見せられたことは、いい経験になったのかなと思う」
ジーコを筆頭にレオナルド(ともにアントラーズ)、ラモン・ディアス(横浜マリノス)、ドラガン・ストイコビッチ(名古屋グランパス)らが集結したJリーグの黎明期。世界の舞台で結果を残してきたスーパースターの攻撃力に真っ向勝負を挑んだ、日本人のディフェンダーたちの能力もまた磨かれていった。
四半世紀近い時間がたったいま、日本の地でプレーすることを選んだポドルスキによって同じ相乗効果の図式が描かれるとすれば、日本サッカー界にとっては歓迎すべき状況が生まれる。
「簡単にはたくところははたいて、その後にフリーになる瞬間にはやっぱり脅威を感じました。神戸に入ってそれほど時間がたっていないと思うので、まだまだ全力を出し切れていなかったのかなとも思う。僕たちは今シーズン、リーグ戦で当たることはもうないですけど」
中山はこうつけ加えることも忘れなかった。ヴィッセルをけん引し、対戦相手の意識や能力をも引き上げる。中3日で行われる9日の第21節では、ホームに二冠王者アントラーズを迎える。常勝軍団の最終ラインを担う昌子源と植田直通も、世界を震撼させた左足との勝負を楽しみに待っているはずだ。
(取材・文:藤江直人)
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