済州ユナイテッド時代のマルセロ・トスカーノ【写真:Getty Images】
明治安田生命J1リーグ第20節が5日に行われ、浦和レッズと大宮アルディージャによる「さいたまダービー」は2-2のドローに終わった。
「この特別な試合に出られたのは嬉しいこと。勝ち点1という結果を残せたことも、チームとしても自分としても良かった点だと思う」
こう試合を振り返るのは、大宮のFWマルセロ・トスカーノだ。今夏チームに加入したアタッカーは、今季すでに一度埼玉スタジアム2002のピッチに立っている。
今年5月31日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16(決勝トーナメント1回戦)2ndレグ、マルセロは済州ユナイテッドの10番を背負って浦和レッズと対峙した。この試合は浦和が3-0で勝利したが、プレー面ではないところで大きな話題を呼んだ。
1stレグを0-2で落としていた浦和は、18分に興梠慎三、34分に李忠成がゴールを決めて2戦合計スコアを2-2のイーブンに戻して延長戦に持ち込む。序盤から小競り合いはあったが、延長後半に済州の選手たちがまさかの行動に出た。
114分に森脇良太の逆転ゴールが決まった後、ピッチ上で両チームの選手たちが小競り合いを起こす。その中にベンチからビブスを着たままのペク・ドンギュが走り込み、浦和のMF阿部勇樹に肘打ちを食らわせた。
試合終了後にも済州の選手たちが浦和のDF槙野智章を追いかけ回すなど、場内は大荒れに。両チーム合わせてイエローカード8枚、レッドカード3枚が乱れ飛ぶ一戦となった。済州側からは浦和の選手たちに挑発行為があったことも指摘され、両者の言い分が食い違って大きな論争にも発展した。
その後大宮への移籍が決まり、来日2戦目で浦和との“さいたまダービー”に臨んだマルセロは「大宮の話が決まった時は、必ずどこかで浦和と試合をするだろうと思った」と語った。そのうえで「済州と浦和の試合はああいう残念な終わり方になってしまったけど、もう過去のこと。今日は浦和に対して僻みを持たなかったし、大宮の一員として浦和戦のピッチに入った」と述べる。
さらに「済州で試合後に浦和と揉めた、浦和に負けたというのは本当に過去のことで、今日は決して浦和に恨みを持つことなくピッチに立てた。今後も大宮の一員として大宮のユニフォームを守って戦っていきたい」と、自身の中に5月のあの試合の遺恨が残っていないことを強調した。
試合結果についても「何がなんでも勝ちたかったのが正直な気持ちだけど、難しいゲームで2度離され、2度追いつけたことが大きな勝ち点1につながった」とポジティブに捉えており、「次こそは勝ちたい」と来たるFC東京戦(9日)とアルビレックス新潟戦(13日)のホーム2試合に向けて決意を新たにしていた。
(取材・文:舩木渉)
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