ネイマールとその父が失いたくなかった2600万ユーロ
「昨年も既に退団寸前だった」とFCバルセロナの関係者が明かす。
「だが出ていかなかった。なぜなら、契約更新によってさらなる金をつかむことができたし、その時はまだ金よりもサッカーに重きを置いていた」
この関係者が言及しているのは、近年のサッカー史を大きく変えた選手、ネイマールのことである。PSGがそれを成し遂げるまで、未だかつて誰も一人の選手に2億2200万ユーロもの額を払うということはなかった。
PSGというよりはカタール政府といったほうが良いのかもしれないが……。スペインプロリーグ機構(LFP)のハビエル・テバス会長が言うように、「PSGは国家クラブ」なのだから。
ネイマールの経緯について実のところを述べれば、この獲得オペレーションはここ2週間の間で練られたものではない。何ヶ月もかけた深慮遠謀の末の大きなベンチャービジネスなのだ。
実際バルセロナは、ネイマールがPSGとの話し合いを再開していることを、ブラジルの彼に近しい人々を通じて知っていた。しかし、天文学的数字の契約解除金ゆえに移籍など夢にも思っていなかったのだ。
問題となるのが「なぜネイマールは8月2日に決定的な手を打ったのか」「PSGへ行きたいという願望をはっきりと持っていたのなら、なぜ7月にアメリカ遠征に帯同しバルセロナの選手と共にプレーし、さらには並外れた活躍を果たすという“道化”を演じたのか」「心の中では退団すると分かっていながら、なぜメッシやルイス・スアレス、ピケのような親しい友人に出ていくかどうか分からないと言い、だますことになってしまったのか」だ。
答は一様に、金、だ。そう、ネイマールもその父も失いたくはなかった2600万ユーロが理由なのだ。そしてそれがこの「サーカス」の鍵となったものであり、バルセロナの幹部の何人かはこれを「悪ふざけ」と考えているようだ。