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Jリーグ 7年前

松井大輔らしい移籍の決断。磐田からポーランドへ。誰もが惹きつけられる男の新たな挑戦

text by 青木務 photo by Getty Images

引退後のことについて、名波監督からなされていた提案

ジュビロ磐田の名波浩監督
ジュビロ磐田の名波浩監督【写真:Getty Images】

 実は、名波監督は松井の引退後についてある提案をしていた。

「去年の年末に、『個人的には終身契約のような形で考えているから』という話をした。『引退した後もそのままジュビロ磐田の松井大輔として、アドバイザーなりアンバサダーとして働けばいいよ』というスタンスでいた」

 しかし、松井は一人のサッカー選手として新たな挑戦に踏み出した。それは誰にも阻めるものではなく、本人の意思が尊重されるべきだ。名波監督も「人間同士としては大輔みたいな可愛い奴がいなくなるのは悔しくて寂しいけど」としつつも、「アイツのサッカー人生。大輔らしく全うしてくれれば」と優しく背中を押している。

 名波監督を「親分肌で温かい人」と松井は言う。監督と選手という立場の違いを超えた関係にある両者だが、2人の距離が急速に縮まる出来事が過去にあった。

 2014年、磐田はJ2でもがき苦しんでいた。前年にクラブ史上初の降格を経験したサックスブルーは、1年でのJ1復帰を至上命題に戦っていた。松井は約10年に渡る海外でのプレーを経て磐田に加入し、出直しを図るチームを牽引する役目を担った。

 だが、思うように勝ち点を積み上げることができない。前田遼一(現・FC東京)、駒野友一(現・アビスパ福岡)、伊野波雅彦(現・ヴィッセル神戸)ら日本代表クラスを擁する豪華な陣容だったが、J2の舞台は一筋縄ではいかなかった。

 そして、シーズンも佳境に入った9月、名波監督が就任した。リーグ戦残り9試合の段階で指揮を任されたレジェンドは、建て直しに力を尽くしたが2勝5分2敗に終わった。状況を劇的に変えるには猶予がなく、また松井のことを深く知る上でも時間は足りなかった。磐田はリーグ戦4位で、モンテディオ山形とのJ1昇格プレーオフ準決勝に臨むことになった。

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