フットボールチャンネル

日本代表 7年前

遠藤保仁が語るハリルJ。「いまさら戦い方を変えろといっても無理。やりきれるかどうか」

text by 西部謙司 photo by Maiko Tsujimura, Getty Images

「1人や2人でゲームの途中にあのサッカーを変えるのは難しい」

日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督
日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 ハリルホジッチはフランスでキャリアを積んだ監督で、一般的にフランスの監督は選手への“圧”が強い。そうしないとまとまらないからだ。その中で、監督の方向性とは違うプレーをするのは簡単ではないだろう。また、遠藤は「1人や2人だけでは難しい」とも言う。1人だけ違うことをやっても効果がないからだ。

「メンバーとしてはやれないことはない。ただ、1人や2人でゲームの途中にあのサッカーを変えるのは難しい。4、5人が絡まないとできない」

 縦に速い攻撃を指向するチームの中で、意図的にスローダウンするのはリスクがあるわけだ。だが、すべて縦に速い攻撃が有効と限らないのは論を待たない。ハリルホジッチ監督もそんなことは承知している。そうでなければ柏木や大島は最初から使っていない。ゆっくり攻めて点が取れるなら、それで文句はないはずである。しかし、監督が徹底させていることと違うプレーをするなら、必ず結果を出さなければならない。

 遠藤は監督に反抗しろと言っているわけではない。

「ここまで来たら、監督の言うことを徹底してやらなければいけない。いまさら戦い方を変えろといっても無理ですし、やりきれるかどうか」

 遠藤とハリルホジッチ監督は、指向性において水と油だ。現状の日本代表のプレースタイルが好みでないことは容易に想像できる。しかし、勝つという一点については同じ。

 勝つために監督のプランに従ってプレーするのは当然であり、予選の残り2試合ではとくに徹底すべきだと遠藤は話している。ただ、それで足りないのであれば、勝つために選手は勇気を持って成すべき事を為せと。

 オーストラリアがどう出てくるかは予測しがたいが、引き分けでも構わないと考えて日本にボールを持たせる戦い方はありえる。以前とは違って、現在のオーストラリアはボールを持ちたいチームなので何ともいえないところはあるが、彼らに引かれてしまったとき、日本に何ができるかは予め考えておかなければならない。

(取材・文:西部謙司)

【了】

インタビュー全文は『フットボール批評issue17』でお楽しみください。

批評17

『フットボール批評issue17』
定価1620円

サッカーの勝敗は戦術で決まる
超一流の戦術眼

優れた戦術眼を持つ選手、監督、識者の視点で、
ゲームメイク論、監督論、GK論、クラブ経営論などを掘り下げ批評していく。

【目次】
■遠藤保仁 日本サッカーを強くする深遠なサッカー観
■乾貴士 リーガで磨かれ続ける戦術眼とインテンシティー
■風間八宏 受ける・外す
■立石敬之・中村忠 FC東京「育成大改革」
■山村和也 原点回帰 トップ下で輝く理由
■川島永嗣 葛藤と生き様 追い求める“理想のGK像”
■髙田明 私がJクラブ社長になった理由

など、160ページの大ボリュームでお届け!

詳細はこちらから

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!