12月時点では断念も、以前から望まれていた柴崎の獲得
柴崎の獲得は、以前から望まれていたことであった。クラブの前スポーツディレクターであるトニ・ムニョスはすでに彼について非常に良い選手だという情報を得ていた。だがクラブ・ワールドカップでの傑出したパフォーマンスや、ヘタフェが12月時点で置かれていたチーム状況は、獲得の断念へと繋がった。
それでもヘタフェは彼を追い続け、プリメーラ昇格を決めて獲得のチャンスが訪れると、新たなスポーツディレクターであるラモン・プラネスが先頭に立って全力で彼を獲りにいった。
12月の時点では、彼を獲得することで生まれたであろうメディアの喧騒は不都合なものだったが、今は全く正反対だ。プリメーラ復帰を果たしたヘタフェには、レアル・マドリーとの決勝で2ゴールを奪った日本人選手のような華がふさわしい。陽の当たらないセグンダで過ごした短い時期を終え、再び国際的に注目を受ける状態へと戻ることができる。
だが、それが彼を獲得した一番の理由ではないことは間違いない。チームを昇格へ導き、引き続き指揮を執るホセ・ボルダラス監督は、ボールを自在に操る彼のプレーや彼のキックに魅せられている。監督もクラブも、柴崎がプレーの組み立ての中で重要な役割を果たし、チームの戦いにスピードを与える存在となることを確信している。
理想的なポジションがどこであるかについては、少々迷いもある。中盤のセンターで技術を発揮できる選手ではあるが、ボルダラスはそのエリアにはよりフィジカルの強いタイプを好んでいる。
アルコジャーノという格下相手には柴崎をそのポジションで試したが、彼がまずやるべきことはチームに馴染み、守備面の仕事をこなすことだ。先発メンバーに名を連ねるためにはそれが欠かせない。
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