勝利の原動力となった背番号40・川辺駿
クラブ史上初となる4試合連続完封勝利は達成できなかった。相手のシュートがポストやクロスバーに当たるなど“幸運”も確かにあった。それでも、肝を冷やしたシーンで磐田の選手たちは身体を投げ出している。その意味で、ただのラッキーで片付けることはできないだろう。
「少ない数のカウンターで1、2点取れれば相手も怯むと思っていた。前半の1点目なんか特に、チャンスじゃなさそうな場面から得点に繋げることができたし、自分の出て行くタイミングも良くなってきたなと」
この試合でも印象的な働きを見せ、勝利の原動力となったのが川辺駿だ。「今日の相手はカウンターで仕留めなければいけないチームだった」と名波監督が話した通り、いつも以上に守備に重点を置かざるを得なかったが、川辺は虎視眈々とゴールを狙うことも忘れなかった。
衝撃的なスコアが刻まれた等々力陸上競技場で攻守に躍動。83分にベンチに退くまで、背番号40は存在感を示し続けた。
「川崎は上手いしパスコースが多いので、こっちのインターセプトの回数が上がらなかった。前半はちょっと自分の体が重いなと感じていて、なかなかボールを奪えなかった」
本人にとってはもっとできた、という感情の方が大きいようだが、攻守において質の高いプレーはいくつもあった。簡単に縦パスを通されないよう中央を閉じる作業はその一つだ。
「一番嫌なところには入れさせないようにしていたし、ムサ(ムサエフ)との関係もいい。味方との関係性というところで見ても、楔を入れさせない、相手に1回(ボールを)捏ねさせるということはできたかなと」
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