劣勢の展開でも選手たちの士気は下がらず
24分から61分までに磐田は4ゴールを決めてリードを広げたわけだが、分岐点は1失点目のタイミングだった。大井は言う。
「やっぱりボールを持たれるのはわかっていた中で、1-1に追いつかれたけど、それでもみんな気落ちすることなく戦えた。想定内と言ったら語弊があると思うけど、1点取られたからといって『もうダメだ』とならずに、もう一度突き放せたことは本当に良かった」
先制してからわずか4分後にスコアをタイに戻されても、ネガティブな雰囲気が広がることはなかった。また、左ウィングバックの宮崎智彦も手応えを口にしている。小林悠、阿部浩之、エウシーニョらが織り成す変幻自在の崩しへの対応に追われたが、我を失うことはなかった。
「チームとして全体的にコントロールできているなという感覚があった。距離感を意識してできているし、どこかが離れすぎているということがない。うまく距離を保てているのが、いいところかなと」
劣勢の展開でも選手たちの士気は下がらず、前向きな気持ちで戦うことができた。何度か左サイドを破られかけたが、決壊はしていない。
「ボランチ、(森下)俊、健太郎くんも後ろをカバーしてくれていたし、前のアダとコミュニケーションを取りながら、うまく守れていたところはあった。泥臭く、不恰好でも勝ち点3を取れたのは自信にもなる。こういうゲームも必要だと思うし、内容どうこうよりも勝てたことが良かった」
背番号13はそう言って胸を張った。
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