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Jリーグ 7年前

マルティノス、横浜FMの進化続ける勤勉ドリブラー。キュラソー代表で掴んだ新鮮な感覚

text by 舩木渉 photo by Getty Images

結果にあらわれる成長の証。両サイドで相手の脅威に

 実際に映像を確認すると、ペナルティエリア内で切り返して左足に持ち替え、その後2回シュートフェイクをかけているのがわかる。さらにシュートを打つ瞬間にも、もう一度相手のタイミングを外すフェイントが入る。まさにマルティノスの技術の粋が詰まった一発だった。

 今季はこれでリーグ戦4ゴール4アシスト。シーズンのおよそ半分を消化した時点で昨年1年間の成績に並んだ。パフォーマンスや周囲との関係向上は明らかで、マリノスの大きな武器になっている。

 特に昨季以上に目立つのは、齋藤と左右のサイドを入れ替える場面だ。開幕当初は90分間の中で一度か二度だったポジションチェンジは、試合を重ねるごとに増え、清水戦では気づいたらマルティノスと齋藤が入れ替わっている、と感じるほど頻繁に互いの位置を変えていた。

 昨年左サイドで猛威を振るった齋藤は、徐々にそのパターンが読まれていき、相手に止められる回数が増えていた。そこでサイドの配置を入れ替え、相手の目先を変えることで攻撃パターンを増やした。これはマルティノスが常日頃から言っていることだが、「どちらのサイドにいても互いの持ち味を生かせる」という確信が日に日に高まっている。

 左サイドに左利きのマルティノスがいれば、スピードに乗ったタテ方向の突破から精度の高いクロスがペナルティエリア内に入る。右サイドの齋藤は自分で仕掛けてタテに突破することもできれば、ゴール前に入ってシュートを狙うこともできる。

 反対に右サイドにマルティノス、左サイドに齋藤という昨季と同じ形であれば、2人ともカットインしてシュートという形で、よりゴールを意識したプレーになる。マルティノスに関して言えば、右足のキック精度もかなり向上しているため、最近は右サイドから積極的にクロスを狙うようにもなった。

「試合の中ではいろいろな場面がある。例えばセットプレーの後はぐちゃぐちゃになっているので、お互いを見ながら学が右に行ったら自分が左へ、自分が右へ行ったら学が左へ行く。自然の流れでポジションを変えるし、試合の中で話しながら途中で変わったりもする。

今日は後半開始前に学が僕のところに来て『最初はどちらからやろうか?』と聞いてきたので、『どちらでもいいよ』と。そうしたら彼は『左に行く』というので『僕は右で』という感じだった。試合の中ではいろいろなことが起こるので、お互いに話し合うことが大事。自分たちが両サイドどちらでやっても、相手が怖がると思う。今度は学がきた、今度はマルティノスがきた…どうしよう守らなければ…と慌てる」

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