信じて走った先制ゴール。冷静だったシュートの瞬間
大雨が打ちつける中、マルティノスは味方を信じて走った。ドリブルで中央を割った齋藤学から、カウンターのスピードを殺さない絶妙なパスが出る。ひとつの迷いもないプレーがつながり、ゴールが生まれた。
29日に行われた明治安田生命J1リーグ第19節、横浜F・マリノスは2-2で清水エスパルスと引き分けた。「自分の責任だと思うし、本当に迷惑かけている」と齋藤が語ったように背番号10のPK失敗が響き、マリノスにとって「勝ち点2」を失ったと言える後味の悪い試合となってしまった。
中断明けの試合を勝利で飾れなかったのは悔やまれるが、ポジティブな収穫も多くあった。その中のひとつがマルティノスの成長である。キュラソー代表帰りのドリブラーは、自身の先制点をこう振り返る。
「学が何度か自分の方を見てくれていて、必ず自分にパスをくれるんじゃないかと考えていた。学がボールを持った時に、最初はダイレクトで自分のところに出すのかなと思ったら、頭のいい選手なので、瞬間的に彼は仕掛けてから自分のところにパスをしてくれたんだ。ああいう場面で自分のところにボールがきたので、あとは自分が仕掛けていってしっかり決めるだけだった」
1本のパスとスピードで相手の守備を振り切ったマルティノスは一気にペナルティエリアへ侵入。2人のDFをフェイントで棒立ちにさせて、左足を一閃。しなやかな振りから繰り出されたカーブのかかったシュートは、GK六反勇治の手をかすめてゴールネットに吸い込まれた。
「最初は右足で打とうと思ったけど、相手がブロックにきたので切り返して中へ入っていった。その後自分の前にスペースを作ろうとして2回フェイントをかけたら、その瞬間、大きなギャップができて、シュートチャンスだと思った。シュートを打つ前のほんの一瞬、切り返した後に学が見えた。学に出そうと思ったけど、相手も来ていたし、狭いスペースだったので、もう一度フェイントをかけて、自分の前にスペースを作って、瞬間的に空いたので、そこでシュートを打った」