日本語で「変な言葉」を言いながら味方の得点を祝福
後半15分に追いつかれたわずか2分後に、右サイドからMF大森晃太郎があげたクロスを今度は頭で決めたポドルスキがさらに眩いスポットライトを浴びる。もっとも、勝利に貪欲な姿勢とは対照的な素顔が飛び出したのは、アルディージャの戦意を完全に喪失させた刺した後半33分だった。
相手のクリアがこぼれたところへ、先発メンバーでは最年長となる34歳、ボランチの田中英雄が勢いよく走り込んでくる。まるでポドルスキに倣え、とばかりに利き足とは逆の左足をペナルティーエリアの外側から迷うことなく振り抜くと、強烈なシュートがゴール右隅に突き刺さった。
田中にとっては2015年4月25日の鹿島アントラーズ戦以来、実に約2年3ヶ月ぶりとなるゴール。チームメイトたちにもみくちゃにされ、手洗い祝福を受けた最後にポドルスキが笑顔で抱き着いてきた。
「めちゃ喜んでくれていました。日本語で何かを、この場ではちょっと言えないようなことを言いながら」
昨年9月の練習中に左ひざの前十字じん帯を損傷。全治約半年の大けがを必死のリハビリで乗り越えた田中にとって、アルディージャ戦が復帰2試合目だったことを知っていたのか。笑顔のポドルスキが投げかけてきた言葉のヒントを、ベテランは苦笑いしながら明かしてくれた。
「いまはいろいろな日本語を覚えているところなのでね。まあまあ、生活用語もそうやし、変な言葉も。誰から教わったのかはわからへんけど」
サッカーに限らず、来日した外国人選手は下ネタの日本語を積極的に覚えることが多い。田中の言う「変な言葉」にポドルスキも興味津々で、それを駆使することがより早くチームに溶け込むことにもつながると思っているのだろう。
極東に位置する異国の地の文化や風習、気候、何よりも言語にできるだけ早く順応して、ピッチ上で良好なコンビネーションを構築していく一助にしたい――ポドルスキの必死な思いが、田中に対する“風変わりな祝福”からも伝わってくる。