Jリーグでは異次元のミドルシュート。衝撃の一撃
試合が動いたのは、キックオフからわずか4分後だった。途中出場したMF松下佳貴からボールを受けたポドルスキが、相手に背を向けた体勢から振り向きざまに、助走もほとんど取ることなく、それでもゴールまで20メートル以上も離れた位置から強烈かつ正確な一撃をゴール右隅に叩き込んだ。
「ハーフタイムにああいうことを僕に言いながら、それでも点を取るんですからね」
思わず苦笑いを浮かべた橋本も、虚を突かれた一人だったはずだ。ゴール前にはアルディージャの選手たちが密集し、体勢的にも十分でなかった。それでもパスを受けた直後に一瞬だけルックアップして、わずかに空いていたコースを確認すると、迷うことなく全幅の信頼を置く左足を振り抜いた。
「ミドルシュートは入るときもあれば、入らないときもある。その意味では、今日は入ってよかった」
試合後の取材エリアで衝撃的な来日初ゴールを淡々と振り返ったポドルスキだが、相手GK加藤順大の目の前でワンバウンドさせた軌道を含めて、すべてが完璧かつ異次元の一撃だった。左サイドで戦況を見つめていた橋本は、世界を相手に戦ってきた男の真骨頂を感じずにはいられなかった。
「あからさまにペナルティーエリアの外側だったのに、たったひと振りでゴールになるんですからね。やっぱりとんでもないもんやな、と思いますよ。2点目だってしっかり相手を腕で押さえながらヘディングしていた。デビュー戦で2点も取るなんて、なかなかできないことなので」
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