悩ましい両サイドの人選。ケーヒルの起用法は…
不安なのはサイド攻撃への対応だ。新システム導入以降、左右のサイドハーフに入る選手たちがポジショニングに悩んでいる。コンフェデ杯初戦のドイツ戦では、サイドハーフが前に出過ぎたことでフォローしきれない裏のスペースをドイツに使われた。
サイドハーフのポジションを担当する選手を見渡すと、左の本来のファーストチョイスであるブラッド・スミス(ボーンマス)やその代役としてコンフェデ杯でプレーしたアジス・ベヒッチ(ブルサスポル)は、DF登録でサイドバックが本職の選手。
また右の現時点での一番手であるマシュー・レッキー(ヘルタ・ベルリン)はFW登録で、元々はウィングとしてプレーすることを好むなど、キャラクターもバラバラ。サイドハーフでの戦術的なコンセンサスを整えなければ、起用選手ごとのバラツキが出てしまいかねない。逆に言えば、そこが整備されなければ、来る決戦での日本の大きな狙い目にもなるということだ。
攻撃面では、得点に至る経過はともかく、4得点すべてが異なる選手によるものだったことが非常に大きい。しかも、その得点者リストに英雄ティム・ケーヒル(メルボルン・シティ)の名前はない。この結果をして、サッカルーズは「ケーヒル依存症」の完全克服宣言を出してもいいだろう。ケーヒルが最後に代表でゴールを決めたのは、ほぼ1年前の昨年9月のW杯最終予選、アウェイでのUAE戦まで遡らなければならないのだから。
今大会でのケーヒルは、初戦のドイツ戦(86分から)とカメルーン戦(70分から)は途中出場。代表通算100試合目となる節目にキャプテンとして先発したチリ戦でも、得点を奪えないまま57分に退いた。このチリ戦での先発起用は、準決勝進出がかかった試合とは言えど、多分にメモリアルな要素が見え隠れしていたことは否定できない。これらから判断すれば、ポスタコグルー監督の中でケーヒルの「スーパーサブ」起用は今後も揺るがないものと見える。