ブレなかった指揮官。コンフェデ杯で強豪相手に健闘
それでも、アンジ・ポスタコグルー監督は外野の声に流されるほどやわではなかった。メディアに対し「(コンフェデ杯で)新システムに慣れ、さらに精度を上げていかなければならない」と語り、強敵相手に新システムの馴らし運転を続ける姿勢を明確にした。目先の結果を追うために使い慣れたシステムに戻すのではなく、自分が選んだ選手に適した形を模索して採用した新システムでやれることをやるという強い意志。
そして、ポスタコグルーの強い意志に導かれたサッカルーズは、周囲の不安をよそに、世界のトップを相手にする大会で良いパフォーマンスを見せ、渦巻く不信感を払しょくすることに成功した。まさに、これぞブレない男、アンジ・ポスタコグルーの真骨頂だ。
その大会の結果を数字で追うと、ドイツ、カメルーン、チリを相手に3戦2分1敗。4得点5失点で勝ち点2、グループではカメルーンを上回るも、上位2チームには及ばずにグループステージ敗退となった。内容的にはいずれの試合でも見せ場を作り、チリ戦では南米王者をあわやというところまで追い込んだ。サッカルーズは大会きってのグッド・ルーザーとしてロシアを去った。それと同時に、次の強敵・日本との試合に向けて「豪州を侮ることなかれ」の強烈なメッセージを送った。
とはいえ、今大会の戦いぶりだけでサッカルーズの全てを判断するのは危険だ。サッカルーズは日本代表と同様かそれ以上に良くも悪くも相手に合わせる傾向が強い。コンフェデ杯では強敵相手にそれがすこぶる良い方向にあらわれたと考えた方がいい。3バックには相変わらずふとした瞬間にボールウォッチャーになる悪癖が残り、システム上の安定性に関しての不安は拭えていない。
そのDF陣をけん引する25歳の新しきDFリーダーが、トレント・セインスベリー(江蘇蘇寧)だ。昨季インテルへのレンタル移籍を経験した後、心身ともにリーダーにふさわしく成熟した姿を見せるようになった。
その両脇には、25歳になったばかりだが長くイングランドでプレーするベイリー・ライト(ブリストル・シティ)、日本のスピーディーなサッカーにもきっちり対応する23歳のミロシュ・デゲネク(横浜F・マリノス)が控える。この若い3バックは揃って長身で、スピードにさほどの不安がない。この3人のコンビネーションが確立されてくれば、サイズに劣る日本にとっては非常に厄介な壁となるに違いない。